鋼材価格下落と建設費の関係 2020.5 

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鋼材価格の推移

東京の鋼材市中相場を鉄筋ベース価格をグラフ化してみました。

2018年1月から2020年1月まで70000円/t超えの高価格帯を推移してきましたが、2020年2月を契機に、明らかな下落を始め、2020年5月現在64000円/tまで下落してきました。鋼材価格は、建設費総額に対し、壁構造で2.5%程度、ラーメン構造で3.5%程度しか占める比率は有りませんが、建設業全体の需給バランスを見る指標として、重要です。

鋼材価格が下がるという事は、建設業界全体の需要が減っていることを意味しています。
ゼネコンなど仕入れ側、買い方優勢の局面に既に入っているということです。

日本の鋼材電炉メーカーは、10社しか有りませんから、建設業が好景気に沸く値上げ局面の時は、そのメーカー同士が結託しているかのように価格を同時に釣り上げていきます。日本の建設業では、JIS規格に適合している鉄筋しか使う事は、ほぼ出来ないので、日本のメーカーが出している鉄筋しか流通していません。
粗悪な鋼材を入れずに品質が担保されることは、素晴らしい事なのでは有りますが、価格は、メーカーが結託した市中相場を逸れた金額で仕入れることは不可能です。

その鋼材価格が、下がっている局面というのは、明らかに建設業の景気が鈍化していることを意味しています。

景気動向と建設業景気

帝国データバンクの景気動向調査2020.5では、コロナショックの影響で景気DIが25.8まで暴落しています。これは、2010年1月のリーマンショック後の最悪期と同程度の数値を示しています。

2020/5/22の現在は、日本国内のコロナの新規感染者数も落ち着いてきましたが、様々な経済活動が大きく停止してたので、その影響を受けていることが統計に表れていますが、今後3カ月~6カ月は、日本そのものの疫病や経済停止の影響よりも、アメリカやヨーロッパの経済活動停止や、観光産業の壊滅などの世界的な不況の影響を色濃く受けて来ると考えられます。

日本の建設費は、間違いなく下落ベクトルを向いていますが、職人さんの絶対数が減っているために、国(自民党)も公共事業を増やすなど対策を取ってくるはずですし、力のある大手ゼネコンも職人の生活水準の一定の保護をしてくるはずでリーマンショック直後のような暴落に向かう可能性は少ないでしょう。現時点で少なくなっている職人の絶対数を減らすような事が有れば、次に建設業が好景気が訪れた時に、施工能力の限界を超えて、大手ゼネコンに、諸刃の剣として、そのまま還ってくるためです。

建設費の下落が、何処で何をきっかけに反転攻勢を掛かけるのか、注視していく必要が有ります。

●【株式会社土地活用 代表取締役 越川健治】

(株)土地活用 越川健治

昭和52年5月19日生まれ。東京理科大学理工学部建築学科卒業、同大学院修了。ゼネコンでの現場監督・所長を経て2008年にマンションディベロッパーに開発担当として入社するが1年後リーマンショックにより退社。 2009年5月から個人事業主として建設費を最適化するコンストラクション・マネジメント(CM)業務を開始。 2012年7月に株式会社土地活用を法人化。 独立創業からのCM受託実績延床35,696㎡、753戸。

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