建設費削減の手法の一つとして、バリューエンジアリング(VE)というものが有ります。
建設業者間では、通常VE(ヴィイー)と言って頻繁に使われています。
似たような言葉で、CD(コストダウンの略)が有り、明確な違いは無いですが、簡単なイメージとしては、『VEとは、同等以上の機能を持つがコストが安くなる建材・工法』であり、CDは、単純に、『この部材を無くしてしえ。』などを言うイメージをして頂ければと思います。賃貸マンションなどで、ピクチャーレールは良く使われるものですが、住むのには、特に必要ないものではあり、付加価値として付いているものを無くしてしまうものを指す事が多いです。
VEのイメージでは、ゼネコンの取引先の業者が強いメーカーの商品を使って、図面上に記載されているメーカー・品番より、安く建材を入手出来て、同等の性能を有する建材を使い建設費を削減する場合などに良く使われます。賃貸マンションの建設では、住宅設備(キッチン、洗面化粧台、ユニットバス)や、タイルなどは、頻繁に、この手法が使われます。
VEとCDの中間に位置するものは、例えば、賃貸マンションのエントランス部分や、目立つ部分のサッシを一般的にはステンレスのサッシにすることが多いのですが、ステンレスサッシは、物凄く高いので、アルミ製のサッシを使用すると、建設原価は、コストダウンされます。
ここで建築主が注意しなければならないのは、建築主に還元されるVEと、還元されないVE(要はゼネコンの利益になる)があるという事です。
設計施工方式でやっている工事では、そもそも詳細な品番の書いた図面は、存在しないので、一定の仕様はあるにしても、この辺は自由自在、やりたい放題に、弄ってゼネコンの利益を増すことも可能です。
設計事務所が、統一の見積図面を詳細に作っている場合は、基本的に、その図面に記載されている通りのメーカー品番で施工しなければならないので、そのメーカー品番を使わないVEをするのであれば、施工側は建築主にVE提案を誠意をもって行い、建築主の承認を受けた、全額が建築主の建設費削減に当たらなければなりません。
しかし、世の中のVEは、多少は、建築主に還元することがあっても、施工会社も儲かるようにやっていることが横行しているとは思います。
下請に支払う原価など、建築主に見せる必要もないですし、構造体に関わらない部分については上手い事やることを良しとする、施工会社も多く存在するでしょう。
建築主が取るべき対策は、第一に、請負契約前に、出来る限りのVE提案をさせることです。
その上で、出来れば、専門工事会社に直接見積が取れるCM会社を活用することでしょう。
そのようなCM会社は、建設のプロですし、下請専門工事会社に直接交渉を行っているので、支払う原価は全て、把握していますので、CM会社も、建築主も、どの部材を、どのように変更させたら、幾ら下がるかは一目瞭然に解るのです。
しかし、建設業には、下請専門工事会社に直接、見積交渉する能力が無い、CM会社が大多数です。
CMとは、コンストラクション・マネジメントの略ですので、建設をマネジメントしている、建設費に強くは無い、設計事務所のような会社もコンストラクション・マネジメントを名乗っている会社も沢山あります。
実際にやっていることは、プロジェクト・マネジメントに近い仕事で、工程管理や、適当なゼネコンに概算見積を取って、予算を組むこと、後、図面上で、この部材使った方が安くできるのでは無いかというレベルのVE提案です。普通の設計事務所でも誰でもやっていることで、このようなCM会社にお金を払うこと自体が無駄なのです。
この場合、実際のVE見積は、ゼネコンから原価が見えない形で上がってくるだけなので、当社のような建設費削減に特化しながら、ゼネコン活用型CM方式により建設費削減額の中からCMFEEを頂き、プロジェクトマネジメントやVE提案・見積も、無料サービスで、行っている会社から見れば、良くそんな業務内容で、建設費以外に建築主様に余分に費用負担が掛かるサービスでFEEを頂いているなと感心してしまう内容なので建築主様はCM会社を混同しないように注意が必要です。
実際に、㈱土地活用がCM会社としてVE提案をする場合は、どのようにするのかというと、図面を見て高い部材が有れば、専門工事会社に見積依頼をすることと同時に、専門工事会社にVE提案をさせます。
最初に述べたように、実際に、建材をメーカーから買うの下請専門工事会社なのですから、下請にVEを提案させた方が、より建設費が削減しやすくなります。
下請専門工事会社を一般の方がどのように思っているか解りかねますが、例えば、住宅設備の専門工事会社であれば、何十年も、年がら年中、住宅設備をメーカーから買って、据え付け工事をして納品している会社なのですから、ゼネコンよりも、CM会社よりも、その工事種別だけに関する専門知識は豊富でメーカー原価にも精通しています。
建設費をVEでも削減していきたければ、下請専門工事会社の、協力を得るのがベストです。
建築主様は、当サイトに詳しく記述のあるCM方式による、専門工事会社入替えによる建設費削減手法に加えて、VEによる建設費削減についても、しっかりと頭に入れて、建設に取りかかって頂きたいです。
●【株式会社土地活用 代表取締役 越川健治】
昭和52年5月19日生まれ。東京理科大学理工学部建築学科卒業、同大学院修了。ゼネコンでの現場監督・所長を経て2008年にマンションディベロッパーに開発担当として入社するが1年後リーマンショックにより退社。 2009年5月から個人事業主として建設費を最適化するコンストラクション・マネジメント(CM)業務を開始。 2012年7月に株式会社土地活用を法人化。 独立創業からのCM受託実績延床35,696㎡、753戸。