- マンション建設費削減の極意
- マンション建設費の延床坪単価の目安
- マンション建設費とは、数量×単価+経費+利益の総和である。
- 内訳書が有る見積書で、マンション建設費を提出される方法とは?
- マンション建設費の大項目とは?
- マンション建設費の現場経費と利益(一般管理費)とは?
- ゼネコン(総合建設会社)と下請専門工事会社とは?
- 見積内訳書に記載されている単価は、実際に下請専門工事会社に発注する金額ではない。
- マンション建設費を削減するには、どうすれば良いか?
- 優良な下請専門工事会社のイメージとは?
- CM方式のゼネコンと下請専門工事会社のメリットとは?
- マンション建設費が安くて、建物の品質に心配無いの?
- 何故、マンション建設費は削減しなければ、ならないのか?
- マンション建設費の坪単価の比較は何を見れば良いのか?
- マンション建設費総額の延床坪単価は、階数、建物形状、地盤の状況、道路付け、時期によって異なる。
- マンション建設費は、実際に値上がりしているの?
- マンション建設費の理解は深めましたか?
マンション建設費削減の極意
マンション建設費は、非常に解りづらいものです。
ビルやマンションなどを建設する建築主様は、建設費に、お悩みの方も多いと思いますが、本サイトでは建設費について建築主様が正しい知識を蓄えて頂くように、建設費交渉のプロフェッショナルである株式会社土地活用以外では、まず書けない内容で書いています。
見積方法により数千万円から数億円の違いが生じる建設費について、しっかりと理解を深めてください。
『施工会社さんによって、何で建設費が、こんなにも違うの?』
『建設費は、実際に値上がりしているの?』
『建設費の内訳って、どうなっているの?』
『建設費の坪単価の比較は何を見ればよいの?』
『建設費の内容が素人には解らないけど、数億円もする建設工事請負契約を結んで良いの?』
『建設費の削減って、どうのようにすれば良いの?』
『建設費が安くて、建物の品質に心配無いの?』
当サイトでは、このような疑問や悩みを解決するために、建設費の仕組みや削減の仕方などを、マンション建設費交渉のプロ中のプロである、最強のコンストラクション・マネージャーである㈱土地活用の代表者が、一般の建築主様にも理解しやすいよいに、基礎から上級者レベルまで理解できるように説明していきます。
当サイトでの建設費の仕組みは、全ての建築主が絶対的に理解をしていなければならないものです。
建設費の仕組みを明確に理解すれば、土地活用でマンション建設を検討している建築主様が取るべき行動が見えてきます。
建築主様と建設業者が、建設費という面でもガラス張りでクリーンに向き合い、建築主の為に汗水垂らして一生懸命に建設をした結果として、正当な代金を頂く健全な社会を目指して作成していますので、しっかりと読んで学んで頂ければ嬉しいです。
マンション建設費の延床坪単価の目安
下記は、当社でマンションを建設した税別建設費(杭・外構工事等含む)の東京での建築基準法の延床面積で割った坪単価です。
形状や規模によっても、建設費坪単価は大きく異なり、横に広く建設するマンションは、建設費坪単価は、安くなります。
後に、説明していく、コンストラクション・マネジメント(CM)方式で建設費をコストダウン済の坪単価なので、建築主様が、一般の施工会社に見積を取っても、この坪単価では、まず出来ない事を頭に入れながら、建設費削減の極意を学んでいただければと思います。
構造/階数 | 延床面積 | マンション建設費坪単価(延床) | 請負契約時期 | 備考 |
---|---|---|---|---|
RC造6階建 | 1494㎡ | 74.93万円/坪 | 2016.4 | 中層マンション・規模大きい |
RC造4階建 | 1046㎡ | 75.19万円/坪 | 2018.6 | 低層マンション・中規模マンション |
RC造4階建 | 778.17㎡ | 82.52万円/坪 | 2016.10 | 低層マンション・中規模マンション |
RC造11階建 | 1242㎡ | 82.5万円/坪 | 2016.12 | 高層マンション・規模大きい・杭40mと深い |
RC造9階建 | 986.2㎡ | 89.5万円/坪 | 2015.12 | 塔状マンション・中規模マンション・2棟連結(建設費は高くなりやすい構造) |
RC造11階建 | 980.5㎡ | 104.63万円/坪 | 2016.11 | 塔状ペンシルマンション・中規模マンション・杭50m深い(建設費は高くなりやすい構造) |
マンション建設費とは、数量×単価+経費+利益の総和である。
建設費は、建築主に、その内訳を出す場合と、出さない場合が有りますが、まず、各工事内容毎に、数量を出し、それに単価を入力したものに、元請ゼネコンの経費と利益を加えたものです。
下の図は、ある物件の型枠工事の見積書です。
型枠工事とは、ドロドロの生コンクリートを打設するときに、ケーキの型のような受け皿を木の枠で作る工事で、建設工事の重要な部分を担う工事です。
プロ同士の実際の見積では、100ページ程度に及ぶ見積書が作成され、設計図面から工事種別毎(例えば、タイル工事、防水工事、金物工事など)に、図面に書かれているもの全てを細かな内訳と数量を拾って、それに単価を入力したものが建設費総額として、算出されます。
本来であれば、建設業者は、建築主に対し、上記のような内訳に金額が書いてある見積書を提出するべきなのですが、多くの建設業者は、これを怠っています。一般の建築主の8割程度は、建設業者が本来提出するべき、工事見積書を受け取らずに、工事発注をしています。
例えば、設計施工方式(設計監理と施工を同一会社が行う受注形態)では、簡単な間取りが解る図面を作り、『総額3億円です。契約しますか?契約しませんか?』というような営業形態をとっています。このような見積形態では、建築主に建設費の手の内を見せずに真剣に向き合っていない行為ですので、建築主は、それを見抜く知識を持っている必要が有ります。
内訳が無い、見積書を提出されたままで、請負契約まで進んでいこうとする場合、建築主にとって、建設費の面では、強い交渉は成り立たず、絶対的に不利な立場、高い金額での工事請負契約に陥るので、建設費交渉のプロの立場からは、お勧めは出来ません。
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内訳書が有る見積書で、マンション建設費を提出される方法とは?
多くの建築主様が、内訳書の無い見積により建設費を提示され、工事発注をしていますが、内訳付の見積書を提出されるには、どうすればよいでしょうか?
最も確実な、方法は、設計と施工を別の会社に依頼することです。
設計を別の会社に依頼するとは、具体的には、『設計事務所と設計契約』を結び、詳細な見積図面を作成してもらい、その統一図面に対して、ゼネコンに見積依頼をかけることにより、内訳付の見積書が提出されます。
見積図面を渡せば、同じ内容の工事で複数のゼネコンから見積を徴収することが可能で、それをするだけで、設計施工方式で発注するよりも安い建設費での工事発注がしやすくなります。統一図面が無い場合、施工会社による複数の違う図面・仕様での提案で建設費を比較しなくてはならず、詳細な交渉が成り立ち難いです。
マンション建設費の大項目とは?
上の段落では、建設費の数量×単価という細部にスポットを当てて説明をしましたが、もう少し、建設費全体を俯瞰して見てみましょう。
内訳の有る見積書では、下記の図のように、1ページ目か2ページ目には、大項目が集計されたものが記載されています。
実際の見積書は、色付けされていませんが、色付けをして、右に比率を書いてみました。
緑色に塗られている部分が、ゼネコンが工事をするために、本体工事以外に掛かる費用(仮設工事費、現場経費)で、水色に塗られている部分が、原則として、下請専門工事会社(大工さんの会社や電気屋さんなどをイメージしてください。)に支払う外注費が計上されています。
水色の『外注費』に大別される部分は、物件規模やゼネコンの利益(一般管理費)の取り方にもよりますが、建設費全体の80%‐85%有ります。
つまり例えば、3億円の工事を受注したとしても、ゼネコンの外注費が80%であれば、は、建築主様から頂いた建設費の内2億4000万円以上は、下請専門工事会社に、そのまま支払う工事代金です。残りの20%から現場経費と仮設工事費(仮設足場やクレーンの代金等)、一般管理費(粗利)を賄います。
マンション建設費の現場経費と利益(一般管理費)とは?
建築主様が、理解をしやすいように、ゼネコンが提出する見積書でのゼネコンの経費と利益について説明していきます。
ゼネコン見積書上で計上される、現場経費とは、主に工事期間中にかかる現場監督の人件費、交通費、工事期間中に借りる現場事務所の家賃、光熱費、工事保険代などが含まれます。
一方、一般管理費として記載されることが多い部分は、ゼネコン(総合建設会社)の粗利です。
粗利の中から、本社や支店にいる営業、積算、経理、役員など内勤者の給料・報酬と、本社や支店の家賃、光熱費、宣伝広告費などを賄います。
物件の規模や景気などにも寄りますが、粗利は、6%以上は無いとゼネコンの経営が厳しくなり多くのゼネコンは、10%程度の粗利を目指して営業活動をしています。
そして、ゼネコンは粗利の中で、内勤経費を全て払って、残った金額から、税金を納めています。
一般的に、見積書の無い、請負契約では、一般管理(粗利)を高く受注が可能で、建築主側が不利となります。
営業マンを大量に雇い、莫大な宣伝広告費(営業経費用)を払っている土地活用系企業の一般管理費の建設費に占める比率は、高くなり、全て受注した建築主の建設費に乗っかって来るため、相場より割高になります。その為、内訳書の無い見積を提出し必要上に高い建設費で受注するしかないのです。
ゼネコン(総合建設会社)と下請専門工事会社とは?
ゼネコンは、総合建設会社といって、電気屋さんや型枠大工さん、鉄筋屋さん、タイル屋さんなどを専門に工事を行う専門工事会社を束ね、統括して、現場監督が施工管理を行います。
専門工事会社とは、職人さんを束ね、受注した各現場へと職人さんを送り出して、その工事の施工を行います。
一般的な、ゼネコンは、下請協力会というものを持っていまして、各工事種目に対して、型枠であれば、この会社と、この会社いうグループを作っています。
ゼネコンは直接職人さんを雇うことは、滅多にしないので、下請協力会に入っている下請専門工事会社に仕事を発注していきます。
良い部分は、下請協力会が有れば、力量の解る下請けがいることにより、発注するときに0から下請専門工事会社を探す必要が無くなります。
良い部分も沢山あるのですが、悪いことは、下請業者が固定化されてしまい、外注費の交渉が、なあなあになってしまい、自社の下請協力会に入っていない専門工事会社の単価を知ることが出来ないことになります。
人間の、血液が流れなくなると具合が悪くなるように、専門工事業者の流動性が低いことは、建設費単価の値上げ圧力を抑えることが難しくなります。結果として建築主に提示する建設費は値上がりしていきます。
簡単なイメージすると、下請協力会に入る、型枠大工さんの専門工事会社はA社1社と決めていたとします。
A社とだけ、金額交渉していてもA社が高い金額を言ってきたら、そのA社の言い値で発注せざる得なくなり、外注原価の競争力は奪われて行ってしまいます。
建設費は、単価×数量の積算から算出されているので、外注原価が高くなれば、建設費そのものも高くなってしまうのです。
見積内訳書に記載されている単価は、実際に下請専門工事会社に発注する金額ではない。
ここまで理解をして頂いたところで、建築主様は、建設費に関する重大な事実を知る必要が有ります。
仮に設計事務所に図面作成を依頼して、内訳書が有る見積書で建設費を提示されたとしても、実際には、その内訳書に記載されている金額で、下請専門工事会社に発注されるわけではないのです。
一般的に、多くのゼネコンは、各工事種目の単価に、自社の粗利を一般管理費以外に部分にも上乗せして見積を作成します。
例えば、型枠工事代金を2000万円で記載したとしても、実際に下請けに発注する金額は1950万円であること等は、一般的に行われていることです。50万円安く発注できれば、建築主から頂く建設費総額は変わりませんから単純に50万円の粗利が出せる事になります。
ゼネコンは、建築主に対する建設費の見積書通りに下請専門工事会社に発注する訳でも無ければ、実際に下請専門工事会社に発注している金額を建築主に提示する義務も無いのです。また建築主との工事請負契約が済んで建設費総額と受注が確定してから、下請専門工事会社と本格的な原価交渉をしていくことが一般的です。
この建設業の見積の慣例により、どのような弊害が出て来るかというと、建築主も設計事務所も実質的な原価交渉は出来ないのです。
例えば、設計事務所の図面により、内訳書がある見積書を取得できたとして、型枠工事費がゼネコンAが2000万円、ゼネコンBが2200万円だったとします。
ゼネコンBに対し、建築主や、設計事務所がゼネコンAと型枠工事をゼネコンAと同じ2000万円にして欲しいと交渉を仕掛けようとします。建設費の見積交渉については、ずっと上手なゼネコンは建築主に対して、『いやいや、うちの下請業者に発注する型枠工事は2200万ですし、細かい内訳の話は抜きにして全体金額で見てください。』と伝えて終わりです。
これでは、細かい工事種目毎の建設費交渉など出来ずに、結局は、同一図面での相見積が起っているだけで、建設費総額での比較しかできなくなります。
マンション建設費を削減するには、どうすれば良いか?
建設費を削減するには、建設費をガラス張りにすることと、下請専門工事会社の流動性を高めることを同時に行えば良いのです。
『そんな事が出来るのか?』と思われる方も、多いと思いますが考え尽くされた合理的な方法としてゼネコン活用型コンストラクション・マネジメント(CM)方式という手法が有ります。
このCM方式では、建設費交渉のプロフェッショナルとしてCM会社が、建築主の代理として直接、CM会社と取引の有る下請専門工事会社から見積を取得して原価交渉を行い、原価交渉済みの金額で、CM会社と取引の有る下請専門工事会社をゼネコンに紹介し、ゼネコンの新たな下請として加えて工事をすることを依頼し、見積書内訳の外注費=実際の発注金額として建設費総額を圧縮・最適化して工事を行うことが可能になります。
例えば、型枠工事のゼネコンAの金額が2200万円だったとします。CM会社の取引の有る型枠専門工事会社Cが2000万円で交渉が成立した場合、型枠専門工事会社Cを2000万円の見積書と共に、ゼネコンAに紹介すれば、建築主が支払う建設費における型枠工事は2000万円になります。
実際に2000万円で出来るといっている信頼できる専門工事会社を紹介してゼネコンに受け入れられるのですから、『見積書内訳の外注費=実際の発注金額』となります。
建設業の下請協力会の弊害である専門工事会社の流動性の欠如を取り除き、建設費原価をガラス張りにすることも同時に可能となります。
極めて単純な手法ですが、建築のプロで有る設計事務所でも、この手法を扱うことは出来ません。『優良な下請専門工事会社』を設計事務所が取引先として抱えている訳ではないからです。
このCM方式という手法により、株式会社土地活用では、ある程度安い地場ゼネコンの同一図面の見積金額から10~18%の建設費をコストダウンし、統一図面で、元々ある程度建設費の安い地場ゼネコンの見積金額からCM方式による交渉の仕組みで1億円もの建設費コストダウンをした実績も有ります。
【関連記事】
・土地活用の成否は建設費コストダウン|株式会社土地活用
・(株)土地活用の「事例1:1億円コストダウンの土地活用」
・「コンストラクション・マネジメント」本当にコスト削減できる?土地活用素朴な疑問
優良な下請専門工事会社のイメージとは?
優良な下請専門工事会社とは、安くて良い工事をする会社です。
一般的に、大手ゼネコンの下請けに入っている専門工事会社は、そのような会社は多いです。
大手スーパーゼネコンは、下請への外注単価は、年商100億円から20億円程度の地場ゼネコンの外注単価と比べても圧倒的に安いです。
大手ゼネコンは大量の仕事を発注しているので単価交渉も強く、職人さんを沢山集められるパワーの有る下請専門工事会社を抱えています。
パワーの有る下請専門工事会社は、職人さんを大量に集められる代わりに、大手ゼネコンから職人さんの仕事が切れないように大型物件の受注をしてきて、職人さんの単価を安く抑えています。
職人さんからしてみれば、パワーの有る専門工事会社は、工事代金の支払いもしっかりしているし、とにかく仕事を切らさずに、取ってきてくれるので、受注するための営業経費は掛からず、多少単価が安くてもトータルの収入と安定性を考えたら、『力のある専門工事会社のいう事を聞いておいた方が良い』と考える方も多くいます。
単価は高いが1ヵ月の内、15日しか仕事をくれない力の弱い専門工事会社より、25日分みっちり仕事を取ってきてくれて不景気でもある程度の仕事を分け与えてくれる力のある専門工事会社のいうことを聞いていた方が得と考えるのです。また力のある専門工事会社は大量に建材を入荷するため、建材の仕入れ単価も安くて強いです。
CM会社が主に取引しているのは、大手ゼネコンで単価を鍛えられているパワーの有る専門工事会社で、そのような下請専門工事会社から、独自のルートで見積を徴収し、原価交渉を『大手ゼネコンと同程度の単価=その専門工事会社が普段受注している単価』まで行うことによって、建設費の8割程度を占める外注費を圧縮していきます。
外注費を圧縮した上で、大手ゼネコンと比べて管理系費用の安いが、外注単価の高い地場ゼネコンに、交渉済みの原価と共に、下請専門工事会社を紹介して、新たな下請として組み込んで貰って、建設費総額を圧縮・最適化したうえで工事をしていきます。
一方で、大手ゼネコンは、外注費は安いが、管理系費用が高すぎて同じ物件を見積した場合、地場ゼネコンのほうが建設費は安くなります。
CM方式のゼネコンと下請専門工事会社のメリットとは?
建設費を削減する仕組みのCM方式ですが、ゼネコンと下請専門工事会社はメリットが無ければ、この手法では、受注も工事もしません。
メリットが有るから、施工会社は、好景気でも、この手法で受注をするのです。
メリットとは、新規取引先の開拓と、コスト競争力の強化です。
CM方式では、CMでの発注物件以外の物件での取引を自由としています。
つまり、CM方式による紹介でゼネコンAと型枠専門工事会社Cの取引が始まったとします。するとゼネコンAは、普通の営業活動で受注してきた物件で型枠専門工事会社Cに対して見積依頼することも、発注することも自由となります。
年商100億円のゼネコンAに型枠工事が年間5億円あったとします。
その内、2億円を新規に取引が始まった型枠専門工事会社に発注して、その内、仮に5%でも原価が圧縮できたとします。1000万円の利益が増します。
これまで既存の下請専門工事会社だけに発注していたら圧縮できなかった原価圧縮をCM会社から紹介された優良な専門工事会社を下請けに組み込んで行くことにより可能にし、コスト競争力を増強していくことが可能となります。
ゼネコン経営者の考え方にも寄りますが、昨今の協力会の下請専門工事会社からの原価値上げ圧力に手を焼いてきたゼネコンは、CM方式を活用することにより信頼できる優良な専門工事会社を開拓して行こうとする会社がCM方式の見積に積極的に参加しています。
実際問題として、ゼネコン側も、自社の下請協力会の業者の単価が、他のゼネコンの下請の単価と比較して高いか安いかは業務上知ることが出来ないですからCM方式を活用することにより、相場観の見極めや自社の発注単価の適正化を試みようとする考え方をするゼネコン経営者も多くいます。実際に、多くの地場ゼネコンは安い下請専門工事会社を使っている工種と、高い下請専門工事会社を使っている工種とバラバラになっています。
無暗に、知らない下請から見積を取って新規の下請を採用することはリスクが高いですが、実績のあるCM会社からの紹介で有り、且つ、大手ゼネコンの下請として日常的に工事をしている専門工事会社であれば、信頼できるという利点も有ります。
そして、CM方式で受注するゼネコンは、原価が圧縮されるだけで、一般管理費(粗利)の部分は、自ら提示した必要な金額をきちんと確保できるので、建築主から頂く建設費総額が下がったとしても利益を圧迫することは一切ありません。
また下請専門工事会社も普段大手ゼネコンから受注している単価でCM方式でも受注しているだけなので、CM方式で単価を安く受注したからと言って損することも、職人さんを虐めて安くするようなことも、一切ありません。
CM方式は、建築主と、施工するゼネコン、下請専門工事会社が建設費を安くするという同じベクトルに真摯に向き合いながら、それぞれにメリットを享受できる素晴らしい仕組みなのです。
マンション建設費が安くて、建物の品質に心配無いの?
建設費が安い事と、建物の品質には何の相関性も有りません。
単価が安い事は、大手ゼネコンで普段鍛えられている下請専門工事会社を採用しているだけですし、そのようなパワーのある下請専門工事会社は、職人の管理もしっかりしていて、職人さんが下手な工事などしようものなら、手直し代金を請求するか、やった本人に直させるので、職人さんも真面目に工事をしています。職人さんが下手な工事などしようものなら、仕事依頼が来なくなって、自分も家族も食いっぱぐれることは理解しているので、プライドを持ってしっかりと仕事をしています。
また施工管理しているのは、普段、都や区の公共事業や半官工事のような自治体から助成金の出る老人ホームや保育園などを作っているゼネコンの現場監督で、しっかりと施工管理をしていますし、設計事務所も設計監理をきちんとした上で、確認審査機関の構造体の検査もしっかり受けて、検査済証を取得しない限り最後の工事代金を受領できません。
40年以上前ならまだしも、姉歯事件を目の当たりにしたうえで、これだけインターネットが発達した現代で、例えば、鉄筋抜いて売るなど馬鹿な真似をする業者などいません。私自身も2002年から現場監督をしていましたが、その頃には既に施工会社としてのコンプライアンスは確保されており品質管理は徹底されていました。
仮に今鉄筋を1トン減らしたところで7万円程度です。今どき、数万円程度の、小遣い稼ぎに大したお金にもならない馬鹿な真似をしようものなら、即座にゼネコンをクビになりますし、一瞬で会社は潰れるのは解り切っていますし、現場監督は神経をすり減らして、施工を頑張っています。
それでも信用できないという方には、品質や出来栄えに絶対的な自信を持っているので、実際にCM方式で建設費を削減して建てたマンションに、ご案内することも可能です。
何故、マンション建設費は削減しなければ、ならないのか?
ここまで読まれた方は、建設費を削減したくて、熟読されているので、ご理解されているとは思いますが、土地活用も新築不動産投資も『建物取得時の建設費で、成否の根幹は決まってしまいます。』賃貸経営を長期に安定させるには、建設費削減は、絶対的に取り組まなければならない課題です。
不動産投資業界では、リノベーションや、賃貸付けアイテム、WEBシステム、不動産管理の手法についての商品が溢れていますが、最も重要な初期投資金額の大半を占める建設費とローン返済について、建設費を削減することの重要性を伝える会社が殆どおらず、建築主側の認識が甘すぎます。
高い建設費でマンションを建設してしまい、後で取り返しのつかない状況になる前に、しっかりと建設費の重要性について認識していただきたいです。『無知への罰金』を払い業者の養分になることは避けてください。
マンション建設費の坪単価の比較は何を見れば良いのか?
建設費の坪単価には、法床坪単価と、専有坪単価、施工床坪単価が有ります。
建設費の専有坪単価とは、税別建設費総額を全ての専有面積、つまり賃貸契約で実際に貸し出す、また分譲マンションで売り出すことが可能な、各住戸の合計面積の坪数で割った金額となります。坪は、㎡面積を3.305785で割った数字です。
建設費の専有坪単価とは、税別建設費総額を建築基準法上で定められた、賃貸専有面積、内廊下等共用部含んだ面積で割り戻した金額です。延床面積とは、物件周囲にお知らせ看板で『延床面積 〇〇㎡』と書かれている確認申請に出す時に、使う建築基準法で算出方法が定められた面積の坪数です。
建設費の施工床坪単価とは、税別建設費総額を建築基準法上の延床面積に加えて、各社の基準で、バルコニーや屋外階段、外廊下、屋上の面積、エントランスの庇の下の面積などを加算した面積で、割った金額です。明確な基準は無く各社の計算方法で計算しています。
面積的には、同じ物件の比較で、
専有面積<延床面積<施工床面積
となります。
建設費坪単価は、同じ物件の比較で、
建設費専有坪単価>建設費延床坪単価>建設費施工床坪単価
という順になります。
また建設費坪単価で、注意しなければならないのは、本来、税別建設費総額を各面積で割り戻さなければ比較はできないのですが、建設費坪単価の提示には何の決まりも有りません。
多くの会社が広告提示している建設費坪単価で見受けられるのが、建設費総額を『本体工事費』と『付帯工事費』に分けて提示していて、杭工事費や外構工事費、引込工事費、ユニットバスやキッチン、エアコンなどの工事費を付帯工事費に入れて提出し、建設費を少なく見せる本体工事の建設費を、面積の大きい施工床面積で割り戻した建設費で広告提示していることです。
例えば、2億円の建設費総額(杭・外構等全て含む)が有ったとして、1億6000万円を本体工事費、4000万円を付帯工事費に分類したとします。その安く分類した1億6000万円の本体工事費を建設費として、面積が大きい施工床面積で割った金額を広告提示したら、建設費坪単価は絶対的に安く見えます。
安く見える建設費坪単価で例えば坪60万円で建設可能!などと広告を打ったとしても、実際に、建設費総額を、延床面積で割った金額で計算してみると坪100万円だったということなどザラにあるという事を建築主は、把握している必要が有ります。
比較する建築主側が一定の知識を持っている必要が有ります。
【関連記事】延床面積と容積対象床面積 土地活用の豆知識⑯
マンション建設費総額の延床坪単価は、階数、建物形状、地盤の状況、道路付け、時期によって異なる。
ここまで理解できた方に、建設費について更なる知識を得ていただきます。
まず簡単なイメージとして、同じ1000㎡の延床面積でも、階数が12階建と5階建では、5階建の方が圧倒的に安く建設されます。
階数と建設費坪単価の詳細は、複数の関連記事を読んで頂きたいですが、ペンシルビルと横に広い建設では、構造的負荷と、辺の長さからくる壁面数量の割り増しから、建設費総額を数量×単価で積算していくと、どうしても建設費坪単価は、値上がりをしてしまいます。
RC造では地上5階建までは壁構造で建設可能ですが、6階建以上は柱と梁が有るラーメン構造での建設になり、建設費坪単価は割高になります。
建物形状がアクロバティックな形をしていたりすると建設費坪単価は割高になり、地盤が悪く杭が深ければ、当然にして建設費坪単価は割高にはなります。
道路付けが悪く4m道路程度の小型車両でやる工事と、電柱の位置にも寄りますが5.5m程度以上の中型車両で建設可能な建設費坪単価では、狭小道路での建設費坪単価のほうが割高になります。小型車両で搬出入を行う場合、出さなければならない車両の台数が増えますからね。1台の運転手さんとガソリン代で2㎥運べるのと、5㎥運べるのでは、1度に沢山運べた方が、㎥あたりの工事単価が割安になるのは当たり前であることは理解できると思います。
仕様の差により、当然、建設費の坪単価は変わってきます。仕様を下げて、建設費坪単価が下がったからと言って、賃料が下がっても、メンテナンスコストが増大しても意味が有りません。マンション建設の主な目標は、収益性の改善で有り、仕様を落とさずに建設費削減の合理的な仕組みで、高品質なマンションを安く建て、賃料は高く貸せる状態に持っていくことです。特に都心では、高仕様で、高賃料を狙うマンションを安い建設費で建設できなければ、賃貸経営上での他物件との競争から脱落していってしまいます。
地盤が、悪く杭工事費や山留工事費、土工事費が多く掛かる場所での建設費坪単価と、地盤が良く、杭工事費・山留工事費・土工事費が安く建設することが可能な建設費坪単価では、当然にして地盤が良い方が、安い建設費坪単価となります。
見積時期もリーマンショック直後の建設費相場と2020年現在の建設費相場では20か~25%程度の差が有り、10年前に取った見積と、今の見積での建設費坪単価を比較しても、意味を為しません。結局のところ、同じ時期、条件での建設費坪単価を比較するしか意味は無く、実際に建設する土地で幾らの建設費総額が、かかるのかを建築主は実際に統一図面で見積を取り比較していく必要が有ります。
【関連記事】
・RC造のマンション建設費、坪単価の実例リスト ㈱土地活用トラックレコード公開
・RCラーメン構造とRC壁構造の建設費の違い 土地活用の豆知識②
マンション建設費は、実際に値上がりしているの?
この疑問については、建築費指数を見ていただくと良いです。
2010年を100として、2020年4月現在は125程度まで建築費指数は、上昇しています。これは、建設業の景気が良いことも原因では有りますが、2010年の頃はリーマンショック直後で民間景気も最悪過ぎる状況で、且つ、民主党政権が公共事業も減らすことに尽力していたからです。結果として多くの職人さんが、1日汗水垂らして働いても、工具や現場までの交通費は自分持ちで1日5000円程度の単価しか貰えなかったり、有りつく仕事すら存在しなかったりで生活が成り立たずに建設業を去っていきました。その爪痕は、景気回復時の建設業に悪影響をもたらし、職人不足により公共事業入札不調になるなどは、2014年頃にニュースを賑わしました。徐々に単価を切り上げていくことにより、戻ってきたり、働き盛りの10代後半から20代の若者が建設業の門を新たに叩くようになり、また外国人労働者を受け入れ教育していくことにより、建設業全体の施工能力が回復してきました。
今が正常な建設費相場であるとまでは言いませんが、リーマンショック前のファンドバブルの頃の相場程度に戻ったと考える事が妥当であると思います。
2020年のコロナショックでの世界的景気悪化により、建設費坪単価は半年から1年間程度は緩やかに下がって行くことは予想されますが、リーマンショックの爪痕に苦しんだ学びから、建設業は一定の職人さんの単価を生活がきちんと成り立つように努めるでしょうし、自民党政権は建設業が極端に冷え込めば、公共事業対策を打ってくると思われることから建設費の暴落をすることは考えにくいと思えます。
マンション建設費の理解は深めましたか?
ここまで、建設費に関する長文を読破していただき、有難うございます。
是非、関連記事やブログ記事も読んで頂き、建設費の理解を深めた後は、どのように行動をするかは、皆様の行動に掛かっています。
全ての読者様、建築主様が、建設費について正しい知識を得て、最適な行動をしていただくことが、建設業全体が『建設費についても建築主に真摯に向き合い、建築主の為に建設するという改革』をし、ガラス張りにすることで新たな着工が増え、活性化することに、つながっていきます。
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